あの経験を忘れない。東日本大震災の【震度分布】から学ぶ、地震への備え
2011年3月11日に発生した東日本大震災。あの日、日本列島は未曽有の強い揺れと津波に見舞われ、多くの尊い命が失われました。
「あの時、私の地域はどれくらい揺れたんだろう?」
「震度って聞くけど、実際どんな揺れだったんだろう?」
多くの方が、あの日経験した揺れの記憶を鮮明に覚えているのではないでしょうか。東日本大震災は、地震の恐ろしさ、そして日頃からの備えの大切さを私たちに改めて教えてくれました。
このページでは、消防庁などが公表している東日本大震災の震度分布に関する情報も参考にしながら、あの時の揺れが日本全国でどのように分布していたのかを振り返り、そして、その教訓を活かして今後の地震にどう備えるべきかについて、一緒に考えていきたいと思います。
そもそも「震度」ってナニ? 揺れの大きさを知る目安
地震のニュースで「震度○」という言葉を耳にしますよね。「震度」とは、ある場所での地面の揺れの強さを表すものです。地震そのものの規模(エネルギー)を示す「マグニチュード」とは違い、震度は場所によって異なります。震度は0から7までの10段階(5弱、5強、6弱、6強を含む)で表され、数字が大きいほど揺れは強くなります。
[震度階級ごとの揺れの目安を表す簡単な表やイラストの説明]
- 震度1: ほとんど揺れを感じないが、ごくまれに揺れを感じる人もいる
- 震度3: 家の中にいる人の多くが揺れを感じる
- 震度4: ほとんどの人が揺れを感じる。電灯などが大きく揺れ、座りの悪い置物が倒れることがある
- 震度5弱: 大半の人が恐怖を覚える。棚にあるものや食器が落ちることがある
- 震度5強: 物につかまらないと歩きにくい。固定していない家具が倒れることがある
- 震度6弱: 立っていることが困難。固定していない家具の大半が倒れる
- 震度6強: はいわないと動けない。壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある
- 震度7: 立っていることも、這うこともできない。耐震性の低い木造建物では倒壊するものがある
東日本大震災の震度分布から見えた特徴
東日本大震災では、地震が発生した場所(震源)に近い東北地方の太平洋沿岸部を中心に、非常に強い揺れが発生しました。特定の地域では震度7という、日本の観測史上最大クラスの揺れが観測されました。
消防庁をはじめとする機関が公表した震度分布図を見ると、以下の特徴が見えてきます。
- 広範囲で強い揺れ: 東北地方だけでなく、関東地方でも広い範囲で震度5弱や5強、場所によっては震度6弱の揺れが観測され、首都圏でもエレベーターの停止や帰宅困難者が多数発生するなど、影響は広範囲に及びました。
- 特定の地域で震度が高くなった要因: 同じ震源からの距離でも、震度が高くなる地域とそうでない地域がありました。これは、地震波が伝わる地下の構造や、地盤の固さなどが影響していると考えられています。特に、やわらかい地盤の場所では、揺れが増幅されやすい傾向があります(これを「液状化」などと合わせて説明するのも良いかもしれません)。
震度だけじゃない! 揺れと被害の関係
「震度が高かったから被害も大きかった」と思われがちですが、実は地震による被害は、震度だけで決まるわけではありません。揺れの**「継続時間」や「周期」、そしてその場所の「地盤」**の状況なども大きく影響します。
東日本大震災では、比較的ゆっくりとした、しかし長い時間の揺れ(長周期地震動)が発生し、震源から遠く離れた高層ビルでも大きな揺れを感じました。また、海岸部では液状化によって建物が傾くなどの被害も発生しました。
つまり、同じ震度であっても、揺れの特性や地盤によっては、建物の被害や私たちの感じ方が大きく異なる場合があるということです。
あの経験を忘れずに【東日本大震災の教訓から学ぶ地震への備え】
東日本大震災の大きな揺れを経験した私たちは、地震への備えをより一層真剣に考える必要があります。震度分布から見えた教訓を活かし、普段からできる備えを確認しましょう。
- 家具固定で身を守る: 強い揺れで最も危険なのは、倒れてくる家具です。寝室や子供部屋など、人が長時間過ごす場所を中心に、家具の固定は必須です。L字金具や突っ張り棒などを活用しましょう。
- 非常用持ち出し袋の準備: 電気、ガス、水道などのライフラインが止まっても数日間は生活できるよう、水、食料、簡易トイレ、懐中電灯、ラジオ、常備薬などをまとめた非常用持ち出し袋を、いつでも持ち出せる場所に準備しておきましょう。
- 家族との連絡方法の確認: 災害時には電話が繋がりにくくなることがあります。家族で安否確認の方法や集合場所などを事前に話し合っておきましょう。災害用伝言ダイヤル(171)や、災害用伝言板(web171)の使い方も確認しておくと良いです。
- 地域の危険を知る(ハザードマップ): あなたの住む地域に、地震による揺れやすさや液状化の危険、津波浸水想定区域などが示されたハザードマップがあるか確認しましょう。地域の危険を知ることで、より効果的な備えができます。自治体のホームページなどで公開されています。
今後想定される地震への備え
残念ながら、日本は地震が多い国であり、今後も大きな地震が発生する可能性があります。東日本大震災のような巨大地震だけでなく、首都直下地震や南海トラフ地震など、様々な地震が想定されています。
大切なのは、「いつか必ず大きな地震が来るかもしれない」という意識を持って、日頃から少しずつでも備えを進めておくことです。今日の小さな備えが、いざという時の命を救うかもしれません。
よくある疑問Q&A
- Q:「震度とマグニチュードはどう違うんですか?」
- A:マグニチュードは地震そのものの規模(エネルギー)を表し、震源地からの距離や場所に関わらず一つの地震につき原則一つの値です。一方、震度はある場所での揺れの強さを表し、地震の規模だけでなく、震源からの距離や地盤の状況によって場所ごとに異なります。
- Q:「震度7は、揺れ続けたらどうなるんですか?」
- A:震度7は、震度階級の最大であり、立っていることも、這うこともできないほどの非常に激しい揺れです。耐震性の低い建物では倒壊するものがあるなど、甚大な被害が発生する可能性があります。震度7の揺れが長時間続くと、建物の倒壊やインフラへの被害がさらに拡大する恐れがあります。
まとめ:東日本大震災の経験を、未来への備えに繋げよう
東日本大震災の震度分布を振り返ることは、地震の揺れの多様性や、私たちの地域がどのようなリスクを抱えているのかを知る大切な機会です。
- 震度は場所によって異なり、地盤なども影響する
- 震度だけでなく、揺れの継続時間や特性も被害に関わる
- 家具固定や非常用持ち出し袋など、日頃の備えが命を守る
あの日から学び、自分自身や大切な家族の命、そして地域を守るために、できることから一つずつ備えを進めていきましょう。東日本大震災の経験を風化させることなく、未来への備えに繋げていくことが、私たちにできる一番大切なことだと考えます。